第25章 24 Melody.〜天side〜
またもや天にぃ呼びする陸にグイグイと腕を引っ張られやって来たのは、レッスン室らしき広めの部屋。
そこは手作りの飾り付けでいっぱいで、中でも【天陸兄弟!誕生日おめでとう!!】の文字が存在を主張している。
(やっぱりね)
「陸がしてくれたの?」
「ううん、みんなでやったんだ!」
「そう」
「天にぃ、誕生日おめでとう!!」
そう言う陸だって今日が誕生日なのに……自分の事はそっちのけ。
ボクにばかりおめでとうを言う。
和泉三月が「陸!お前あの文字が目に入らないのかよ!!」と、彼に物申したりしたが……それでも陸は笑いながら「祝いたいんだからしょうがないだろー?!」と話を聞かない。
「陸」
「なに?天にぃ!」
「おめでとう」
誰も陸におめでとうを言ってないわけじゃなかった。
IDOLiSH7も楽も龍も……それからも、ちゃんとこの子にお祝いの言葉をプレゼントしていた。
けどボクからの「おめでとう」はかなり嬉しかったようで……
「ありがとうっ……天にぃ……っ」
陸は泣いてしまった。
「はい陸、ハンカチ」
「っ……ありがとう、姉……」
「この泣き虫さん」
「それ……姉には言われたくないなぁ……」
「むっ……!」
(……膨れるとか可愛い。やめて)
「もよく泣くからね」
「天まで……!あっ……く、九条さんまで!」
「いいんじゃない?社長さんはいないみたいだし、一応今はプライベートで……もう外じゃないしね」
「いや私がダメなんだって……っ」