第22章 21 Melody.
やって来たのは陸の部屋。
だかしかし、肝心の本人が早々から席を外している。
待ってて!今飲み物とってくるから!
ダメだよ、姉はここに居て!
じゃあなるべくゆっくり取ってくる!
と、バタバタしながら部屋を出て行った。
おかげで天と2人きりだ。
(き、気を使ってくれたのかな……)
「……部屋、綺麗にしてる」
「あ……そ、そうだね……」
「良い子」
天は陸によく「良い子」って言うんだけど……その声が優しいからちょっとヤキモチ。
だっていつもいつも優しく言うんだもん。
これ……小さい頃から思ってた。
(いいな陸……私も言われてみたいけど一応年上だし……)
「これからも維持するように後で言っておかなくちゃね」
(あれ?でもRe:valeさんの番組の時に言ってたような……)
「……さっきからキミは何してるの」
(あの時は結構取り乱してたからなぁ……定かではない……)
「……」
(え?)
「きゃっ!!」
天が側にいるのを忘れて1人で色々と考えてた私。
いきなり顔を覗き込まれて、オーバーに身体をビクつかせてしまった。
ムスッとした表情で目の前にいる天は……ちょっとだけ子供っぽい。
「驚きすぎ」
「だっ、だだだだだって!!」
「……緊張してる?」
(緊張って……?!)
「えっ……」
「こうして2人きりになれたのはあの日以来でしょう」