第21章 20 Melody.〜天side〜
「行くよ」
本当は会わずに帰るつもりだった。
けどどうしても一言言いたくて……ボクは楽達を連れてセット傍にある仮設テントへと向かう。
「TRIGGERさん……?!」と驚くマネージャーをかわしての前に立つと……彼女も驚いたのか、彼と同じ様に目を丸くした。
「て……!く、九条さん……?!」
「話がある。ちょっといい?」
「え……は、はい」
「キミはどこを見ながら歌ってるの」
「……え?」
「どうしてファンの期待に応えないの」
ボク達も暇じゃない。
この後もスケジュールが詰まってる。
だからいきなり本題に入ったわけだけど……は何を言われているのかさっぱりわからない様子。
「え……?」しか言わないから……TRIGGERの九条天が苛立ちを覚えてしまう。
「見えなかった?ファンの子達が持ってた物」
「持ってた物……?」
「キミへのメッセージ。何?気づかなかった?」
「え……あ……は、はい……」
「……あれだけ主張させていたのに気付かないなんてね」
「で、でも私パフォーマンスではミスしてません!」
「それは当たり前でしょう。けどただ披露すればいいって問題じゃない。キミはファンからの声を無視したも同然」
「無視……」
「応えられる範囲ならファンサービスして。じゃないとキミのファンはがっかりする。……言われなきゃわからないようじゃ……やっぱりキミはアイドルを辞めたほうがいい」