第21章 20 Melody.〜天side〜
「みなさんこんにちはー!今日は来てくれてどうもありがとう!!」
「きゃー!ー!!」
「発売おめでとー!!」
「へへっ、ありがとう!もしかしてもう手に入れてくれた?」
「買ったよー!!」
龍が「戻ったらみんなでMV観よう」と言った瞬間、大きな歓声と共に可愛めの衣装を身に纏ったが登場した。
堂々としたトークに立ち振る舞い。
瞼は腫れていないようだし、調子は万全のようだ。
「本当にありがとう!最初はみんなもよく知ってる……って、知らない人もいるよね」
「あははっ!大丈夫だよ!知ってるー!」
「ありがとう……!じゃあ最初はデビュー曲からいくよ!」
(良い笑顔)
デビュー曲。
あのスタジオでバッチリ受け取ってしまったウインクを思い出すと……ちょっと照れくさい。
思い出した……って、勝手に1人で恥ずかしくなる。
そんな時【ウインクして!】と書かれたうちわを、に見えるように大きく振る人達が視界に入った。
彼女はちゃんとファンサービスをするだろうか。
(……してない)
ウインクして!手を振って!笑って!
最近のライブでは、こう書かれたうちわやタオルなどをよく見かける。
この程度ならしっかりと応えてあげるのがアイドルだ。
なのには決まった動きしかしない。
まるで言いなりのロボットみたいだ。
「が、楽……!」
「なんだよ」
「天……今度こそ怒ってないか……?」
「……確かに険しい顔してんな」
「お、俺がちゃんのウインク貰ったせいで……っ」
「何言ってんだ。つかお前に向けてやったかどうかもわかんねぇだろ」
「でも俺……!」
「わかったわかった。とりあえずお前は関係ねぇから安心しろ」
「そ、そうかな……」