第21章 20 Melody.〜天side〜
「えっ……!」
耳に当ててるスマホからの驚いたような声が聞こえる。
会ってた時はこれでもかってくらいぶつけてくれたくせに……今更何を恥ずかしがっているのか。
……キミが言ってくれない限り〝好き〟はあげない。
これはキスを拒まれたボクからの……ささやかな仕返し。
「……いつまで躊躇うつもり?」
「だってっ……凄く恥ずかしい……っ」
「……3」
「……えっ?!」
「2」
「ちょっ……」
(焦ってる。可愛い)
「1」
「うぅっ……」
「ぜーー」
「て、天……!」
「……何?」
「っ……」
〝大好き……〟
……良い夢見れそう。
って思うくらい……今のは真っ直ぐ胸に届いた。
恥ずかしそうに、でもはっきりと優しく。
そんな言い方は……やはりボクだけの特権にしたい。
嬉しくてまたもや顔が緩みそうだ。
(……けどこういうの、どこかのバカップルみたい)
「次、ボクの番」
「う、うん……っ」
(……楽には絶対知られたくない)
「2回は言わないからしっかり聞いて」
「うんっ……」
「……」
「うんっ……」
……触れ合うだけが全てじゃない。
言葉で伝え合いながら想いを深める事は、今のボク達にとって必要な事。
このボクでもダメなくらい、大きくて深かったの傷を薄くしていくには……ゆっくりと時間をかけて向き合っていくのが1番いいだろう。
キスしたり触れ合ったりするのは、それからでも遅くない。
これが……車の中で考えていた事だ。
「大好きだよ」