第20章 19 Melody.
「っ……!」
一瞬にして跳ね上がった心臓が痛い。
痛い……凄く痛い。
ギュッと押さえつけても痛い。
大きく深呼吸しても痛い。
もう……何しても痛い。
私はあなたからのキスを拒んだ。
そのせいであなたに苦しそうな顔をさせた。
なのに好きって……しかも不意打ちで送ってくるなんて……こんなの嬉しすぎるに決まってる。
(天っ……)
【は?】
(そんなっ……私だって……っ)
【好き……】
【……知ってる。】
【好きだよ……】
【わかってる。】
【大好き……】
【……やめて。】
【どうして……?】
【……会いたくなるでしょう。】
拒んだ事、天は怒っていないのだろうか。
あれだけ口を固く結んだままハンドルを握っていたのに……今は普通にやり取りしてくれてる。
無言でいる間、一体何を考えてたんだろう。
(少し話すくらいなら……)
【ねぇ、天……】
【何?】
【ちょっとだけ電話したい……】
【あ……でも寝ないとダメだよね……】
【ごめん、忘れて】
どうしても気になった私。
ラビチャで話す事じゃないと思ったから電話って言ってみたけど……やっぱり時間が厳しかった。
天も仕事があるだろうし……お互いもう休んだ方がいいだろう。
【……いいよ。ただし少しだけ。】
(えっ……)
【い、いいの……?】
【少しならね。】
【ありがとう……!じゃあ……かけるね】
【待ってる。】