第2章 1 Melody.
「ていうかって九条の事が好きなんだな」
「えっ……?」
(な、なんで三月さん知ってるの……?!)
「さっきの話の中で言ってただろ?」
「……あ!」
(しまった……っ)
過去話をするにも、天への想いとかそういうのは伏せて言うつもりだった。
なのに私ってば丁寧に語ってしまっていたらしい。
「そういえば言ってたね」って言う壮五さん。
「りん、てんてんの事好きなんだ」って言う環くん。
「そうなんだ。姉は小さい頃から天にぃの事が好きなんだよ」とか言う陸。
もう顔から火が出そう。
「あの毒舌ブラコンのどこが良いんですか」
(い、いきなり喋るんだ……一織くん……)
「どこがって……」
「全部だよね!」
(お願い陸……笑顔で言わないでっ……)
「え、えっと……」
「あっ!顔赤くなった!可愛いなぁ姉」
「っ……」
さっきまで暗い話をしていたのに周りの空気が一気に明るくなった。
おじさんについてこれ以上深く突っ込まれたくなかったから助かるけど……いいのかな、これで……とも思う。
「涙、止まったみたいだな」
「え……?」
(三月さん……?)
「ありがとな、話してくれて。内容はどうであれ同じ事務所の先輩として嬉しいよ」
「ど、どうしてですか……?」
「これから何か役にたてるかもしれないだろ?例えば盾!」
「盾……?」
「おう!がまだ怖いっていうなら、オレ達が盾になって守ってやるよ!」