第2章 1 Melody.
「やめろイチ。リクは何も悪くない」
「二階堂さん……」
「それと今のを見てみろ。泣きながら話してくれたってのに……そうやって追い詰めんな」
第一印象は良くも悪くもなかった大和さん。
けどこの発言で、結構良い人だなと強く印象付いた。
ちょっとしたお叱りを受けてしまった一織くんは口を閉ざしてしまったけど。
「とにかく事情はわかった。けど今はどうなんだ?少しは立ち直れたか?」
「は、はい……。ただ触られたりするとダメで……っ」
「あー……じゃあこの中で1番警戒しなきゃなんないのは……」
「ナギだろ?」
「ナギだな」
「NO!!ヤマト、ミツキ!!そんな目で見ないでください!!」
そんな目とは冷ややかな目。
2人は揃って冷たい視線を送っている。
でもそれは冗談みたいなもので悪意はない。
さっきのキスだって、ナギさんには全く悪気はなかったんだ。
けど律儀な彼は「ソーリー……先ほどの失礼、お許しを」って、本気で申し訳なさそうに謝ってくれる。
「い、いえ……大丈夫です……」
「今後気をつけます。ですが……克服のお手伝いでしたらワタシ、いつでもOKです」
「あ……ありがとうございます……」
「こらナギ!姉を早速怖がらせるなよ!」
「OH……そんなつもりありません」
これはもう病気だろうか。
謝罪したかと思いきや、さり気なくまた近寄ろうとする。
ナギさんは女の人にかなり慣れているようだけど……立ち振る舞いが優雅だからか、いやらしさが全くない。
あのおじさんとは天と地の差だ。