第19章 18 Melody.〜天side〜
「……聞いてる?」
しかしからはなんの返事もなかった。
ボクの腕の中で震えながら黙っているだけ。
聞き逃したからもう一度言ってなんて、そんなの聞かないよ。
ってちょっとムッとしたけど……はボクの言葉と想いをちゃんと受け取っていた。
「き、いた……っ」
「なら何か言う事あるでしょう」
「っ……」
「」
少しだけ身体を離し、の両頬を包み込む。
彼女は涙を滲ませていて……その瞳と視線が繋がった瞬間、ボクの身体はゾクっと素直な反応を示した。
……キスしたい。
こんな至近距離で、しかも潤んだ瞳で見つめられたらたまらない。
答えをまだ聞いていないのに顔を近づけてしまいそうになる。
「聞かせて」
「っ……私っ……も……」
「……なに?」
「私もっ……好きだよ、天っ……」
〝ねぇっ……大好きだよ……っ〟
と、何度も言ってくるの目からこぼれ落ちた一粒の涙を……ボクは黙って拭った。
無意識に強張ってしまうみたいで、距離を取ろうと彼女は身をよじらせる。
……でももう離さない。
何年もかけてやっと想いが通じ合ったんだ、ここで手離してどうする。
「……怖かった?」
「っ……大丈夫……」
「……そう」
「っ……」
「……随分と遠回りしたね」
「うんっ……」
「もう遠くへは行かせないから覚悟しなよ」
「うんっ……」
拭っても拭っても溢れるの涙。
けどそれが……ボクにこう語りかけてくる。
勝手に消えてごめんなさい。
でも本当はずっと会いたかったよ……。
あの時言いかけた〝本当はずっと……っ〟という言葉。
実際には聞いてないけど……やっと今繋がった気がした。