第19章 18 Melody.〜天side〜
事務所に戻らなきゃならなかったのはボクも同じ。
だから一度別れて、改めてと向き合う事にした。
会場で言うにはあまりにも人が多すぎたから。
「……外で待ってたの?」
「う、うん……みんな帰るって言うから……」
「そう。行くよ、乗って」
小鳥遊事務所までは車で来た。
それが意外だったからか、ボクが助手席のドアを開けてあげたからかわからないけど……は目を丸くしたままその場から動かない。
「何?ボクの運転じゃ不安?」
「う、ううんそうじゃなくて……私助手席なの……?」
「後ろがいい?」
「えっ……!」
(嫌なんだ)
「どっち?」
「あ……えっと……ま、前がいいかな……っ」
(もう顔赤くしてる)
「なら早く乗りなよ」
「う、うん……お邪魔します……っ」
隣に女の子を乗せたのはこれが初めてだ。
いや、本当は女の子どころか男すら乗せたことがない。
使う時は決まって仕事終わりで、それもほんの少しの時間だけだったから。
……横に人がいるとドキドキする。
それがだと尚更……。
「ベルトした?」
「う、うん……」
「じゃあ行くよ」
「でもどこに……?」
「さあ……どこだと思う?」
「わ、わかんないよ……」
「懐かしい場所だよ。行けばわかる」