第2章 1 Melody.
「オレ達が嫌いで避けてたわけじゃなかったんだ……」
「そんなっ……嫌いになるわけないよっ……」
「オレずっと嫌われたのかと思ってた……。引っ越したのもそのせいかなって……」
……あれから何度も天が家に来た。
はいますか?
会わせてください。
話がしたいんです。
彼の声は私に届いていたけど、お母さんの話によると……毎回天は頭を下げていたそうだ。
聞くたびに胸が痛んで涙を流して……でもまだ立ち直れていなかったから、会うのは無理だった。
そうやって過ごすうちに田舎へ引っ越す話が出て……私は何も言わずに2人から遠ざかったというわけだ。
「そっか……」
「ごめんね陸っ……私……っ」
「仕方ないよ……知らない奴にあんな事されたら傷つくに決まってるし……」
「でもっ……」
「全く……バカですか?あなたは」
一通り話し終わった頃、一織くんが突然口を挟んできた。
手紙くらい書けばよかったじゃないですか。
その方法なら会わずに事情は説明できます。
拒絶するだけだったから、あなたも七瀬さんも余計苦しい思いをするハメになったんですよ。
どれもこれもグサッと刺さる言葉ばかりで……正直今は受け止めきれそうにないと思った。
「っ……そんな言い方ないだろ?!」
「だってそうでしょう。見ず知らずの男性に身体を触られた事には触れなくても、引っ越すっていう事実だけは伝えておくべきだったと私は思いますが」
「伝えてたらきっとオレが色々聞いて姉を困らせてたよ!!だからこれでよかったんだ……」
「そうですか。なら七瀬さん、あなたが悪いですね」
「はあ……?!」
「あなたがそんなんだから、さんも言うに言えなかったんですよ」