第17章 16 Melody.〜天side〜
、歌って……。
あの時は口パクだったこの言葉に声が重なる。
聞いて嬉しくなったのかなんなのか、はまた目に涙を溜めて……そして口を押さえた。
「ありがとう」「ごめんなさい」
そう繰り返し言うを……ボクは更に引き寄せる。
「何回同じ事言うつもり?」
「でもっ……私っ……」
「謝るならファンにでしょう」
「……そうだね……っ」
まだカタカタと身体が震えている。
でもさっきと比べたら大分落ち着いてきた。
呼吸は安定してきたし、受け答えも出来ている。
この様子だと、が完全に持ち直すまでにそう時間はかからないだろう。
「どう?行ける?」
「……うん」
「なら立って。そこまで一緒に行、」
「待って天……!私を殴って……!」
「……いきなり何言うの」
「あっ……な、なら私を思いっきり叱ってください!」
なんでもいい、どんなにキツい事を言ってもいい。
優しさなんて一切いらないから、プロとしての九条天で私に意見してほしい。
と、はボクに頭を下げた。
そりゃプロとしてと言われたら、色々と物申したい事があるけど……
今は叱るよりも……背中を押してあげる方が良い。
「……いいの?ボクは容赦しないよ」
「はい……!覚悟は出来てます」
「……なら」
「はい……!」
「早く行って」
「え……?」
「キミが輝く姿を……早く見せてよ」