第17章 16 Melody.〜天side〜
に向かって伸ばす手。
一瞬躊躇ったものの……それはまた動き出し、そして彼女の頭に触れた。
当然は嫌がって大きな声を出してくる。
けどボクは引かない。
ここで引いたら怖がらせて終わるだけになってしまう。
「イヤァァ!!ゴホッ……!ハァ……ッ」
「……」
「イヤ!触らないで!!あっち行ってよっ……!!」
(このまま殻に閉じ籠もらせてたらキリがない)
「行かない。……ねぇ、こっちを見て」
「イヤだっ……!!ハァッ……イヤァァ!!」
「大丈夫。ほら、目を開けて……ボクを見て」
と言いながらボクは頭をそっと撫でた。
まさかこんな状況で触れる事になるとはと思いながら、がこっちを見てくれるまで手を動かし続ける。
……意味のない行動かもしれない。
は頑固なところがあるから、このままずっと殻から出てこないかもしれない。
けどそれでもボクは頭を撫でる事をやめなかった。
すると……
「ッ……ハァッ……あぁっ……」
暫くしてはゆっくりと目を開けて、その瞳にボクを映してくれた。
瞼は腫れ、目も真っ赤になっている姿は本当に弱々しい。
「ボクが誰だかわかる?」
「っ……て、んっ……」
「そう、正解」
頭を撫でていた手が止まってしまう。
次動かしたら……今度こそ脆く崩れてしまいそうだった。
でもボクはの頭を引き寄せる。
下手に動いたらを壊してしまうかもしれないのに……。
「イヤッ……!」
「何?ボクはあの男みたいに簡単には手を出さない。一緒にしないで」
「ッ……」
「それよりどうするつもり?キミがいつまでも泣いてるせいで周りに迷惑がかかってる」
「っ……わ、たしっ……」
「今のキミに出来る事は早く持ち直す事。それはわかってるでしょう」
「う、んっ……」
「なら早く落ち着いてあそこに立って。みんな待ってる」
「っ……でも私っ……こんなんじゃっ……」
「でもじゃない」
「っ……」
「……今度はちゃんと言う。これを聞いても無理だって思うなら今直ぐアイドルを辞めて」
「な、に……っ」
「……」
「うんっ……」
「歌って……」