第17章 16 Melody.〜天side〜
ここは機材に囲まれていて、周りからは丁度死角になっている。
が自分で逃げ込んできたのかはわからないけど、今は少し助かる位置取りだ。
これなら……の心にもっと近寄れる。
「……」
「うっ、ハァハァッ……ひっ……くっ、ハァッ……」
(嗚咽……)
「泣かないで。余計苦しくなる」
「くっ……んっ、ハァッ……ゴホゴホッ!……ハァッ……」
(……正直見てられない)
身体を震わせながら膝を抱え、次々と涙を流すを見ていると無性にこう思う。
どうしてボクは男なんだ……。
女だったら今みたいに口だけじゃなくて、身体も使ってを落ち着かせられたのに。
無力な自分が腹立たしい。
「ありがとうございました!!IDOLiSH7でした!!じゃあ次は、」
「良かったよ!!IDOLiSH7!!」
「ああ、君達らしい元気な曲だった」
「えっ?!Re:valeの百さんと千さん?!でも次は……」
「まあまあそう気にしないで、少し僕達に付き合ってよ」
「そうだよ陸!!ユキが寂しがってるから相手してあげて!!」
「えっ?!えっ?!」
(……なるほどね)
そんな時、予定にはなかったトークがステージ上で始まった。
何も知らない陸はついていけてない様子。
でもこれで本当に時間がなくなった。
トークを長々と引き延ばすわけにはいかない。
「……、キミの為に百さん達が動いてくれてる。ほら、聞こえるでしょう」
「ゴホッ!ハァ……んっ、ハァッ……ゴホッ……!」
「みんなキミを待ってる。勿論ボクも。だから……」
「ッ!!」
(今は泣くなって言う方が酷だ……)
「このまま泣いてていいよ」