第17章 16 Melody.〜天side〜
ボクが「聞いて」と言った瞬間、周りはギョッとした顔つきをして「やめろ」と言ってきた。
絶対叱ると思ったんだろう。
でも時と場合というのがある。
いくらなんでも今の状態で説教なんかしない。
「うぅっ……ハァッ、ハァッ……イヤっ!!ハァ……ッ」
(……ごめん、でも聞いて)
ここがどこだかわかる?
何をしに来たかわかる?
キミは1人のアイドルとしてこの会場に来たんだ。
外にいるファンの為に、これからキミはステージに立たなきゃならない。
それがボク達の……キミの義務だ。
……さっき言ったよね?ライブを成功させるって。
失望なんかさせないって。
私を見ててって……。
それ、全部嘘にするつもり?
そんな状態でどうライブを成功させるの。
誰もいないステージで、どうやってキミの姿を見ればいいの。
……もう一度言う。失望させないで。
ファンにも……ボクにも。
だから今すぐ思い出して。
自分は小鳥遊事務所所属のアイドル、だって事。
と、ボクはの心に直接語りかけるように話した。
でも彼女は首を横に振るばかりで、こっちの目すら見てこない。
「お、おれスタッフと話して順番を変えてもらいます!」
(出番を変えるのは良くない。けど……)
「クソッ……見てらんねぇ!おい天、代われ!」
「待て楽!ここは俺が……!」
(時間がない……)
「小鳥遊さん、背中はもういい。ありがとう」
「で、ですがさんはまだ……!」
「わかってる。ボクがなんとかするから……彼女と2人きりにさせて」