第17章 16 Melody.〜天side〜
「凄いお客さんだ……!」
「俺らが出るんだ、当然だろ?」
そして本番前。
通しが終わった後少しだけ時間をもらったボクは、1人海の方を眺めながら気持ちを整理した。
とあの男はただのビジネスパートナー。
の笑顔が見たいなら、ボクが笑わせてあげればいい。
冷静になって考えると、嫉妬してた自分が段々恥ずかしくなってきて……つい「格好悪い……」って海に向かって呟いた。
でもおかげでスッキリしたからもう大丈夫。
(、キミにも最高のステージを贈ってあげる)
「おい天、客だ」
「……誰?」
「くっ、九条さん!」
(……)
「何?」
「先程は申し訳ありませんでした!私っ……必ずライブを成功させてみせます!失望なんか絶対させません!だから……っ」
「……だから?」
「だから……私を見てて、天」
「っ……」
いきなり敬語をなくさないで。
いきなり名前で呼ばないで。
いきなり微笑みかけないで。
今のボクにとったらどれもこれもキツいんだ。
ここで顔が緩んだらどうしてくれるの。
「じゃ、じゃあ私は戻ります……!」
(言い逃げするつもり?)
「待って」
「なっ、なんでしょうか……」
「キミにはまだ言いたい事がある。聞いて」
「は、はい……」
「も……ボクを見てて」