第16章 15 Melody.
気づけば三月さんだけでなく、IDOLiSH7のみんなが私の周りで笑っていた。
一気に恥ずかしくなって俯きながら彼らを見送ったけど、みんなのリハもとても楽しそうで……見ていると元気になる。
IDOLiSH7にはそういう力があるんだ。
(私も周りに元気を与えられるアイドルになりたいな……)
自分は1人だから、彼らみたいには派手に出来ない。
でも1人だからこそできる事が何かあるはずだ。
まだ見つけられてないけど……とにかく今日は私自身も楽しもうと思う。
(私が楽しんでいれば、ファンのみんなも同じ気持ちになれるよね)
「……ねぇ」
(えっ……)
「て、天……いや、九条さん……?」
「さっきの何?リハだからって気を緩めないで」
今回のサマフェスには大型ステージが4つ配置されている。
AステではRe:valeさん
BステではTRIGGERさん
CステではIDOLiSH7
そしてDステでは基本私が使用する。
各ステージは細めの通路で繋がっていて、本番では自由に行き来していい事になっているのだが……今行っているリハは、Aステで交代しながらやっている。
だから天が側にいてもおかしくないのに、突然怒った顔で声をかけられたものだから驚いた。
でも彼の言う事は間違ってないから……私は謝ることしかできない。
「す、すみません……」
「それで本番成功するわけないでしょう」
「はい……」
「キミは何をしにここに来たの」
「……観に来てくれるファンの皆さんに楽しい時間を過ごしてもらうため……です……っ」
「わかってるなら本気でやって。ステージに立つ者として、それは最低限の事でしょう」
「はいっ……」
「……失望させないで」