第16章 15 Melody.
「ふふっ……!」
自分も「梅干しください!!」なんて恥ずかしい事を言ったけど……おかげで心のモヤモヤが晴れ、意識を天からライブに向けられるようになった。
リハ中思い出し笑いをしてしまっても、それが逆に自然体に見えるみたいで……スタッフさん達からは好評だ。
「ほら、あなたはやれば出来るんです」
「はいっ……ふふっ……!」
「って、いつまで笑ってるんですか!!」
「すみませんっ……!」
「あなたって人は……本番でもそのスマイル、沢山見せてくださいよ」
「ふふっ、はい!」
この調子なら、終わるまでずっと笑っていられそう。
中央にある広々としたスペースが、後ほど沢山のファンで埋め尽くされても……私はきっと楽しく歌う事が出来る。
そう思わせてくれたマネージャーに感謝。
時々オーバーだったりするけど、この人がマネージャーで本当に良かった。
「はははっ!梅干しくださいって……!お前何言ってるんだよっ……!」
「っ……そんなに笑わなくてもいいじゃないですか三月さん!梅干し大事ですよ!」
「争うレベルが低いんだよっ……!もうちょい豪華な具でいけって……!」
(おにぎりの具で豪華……?)
「昆布とかですか?」
「はははっ!!まだ低いじゃんかっ……!今はいくらとかまぐろとかあるだろっ……?」
「た、確かに……」
「腹痛えよっ……!お前のおかげでオレ達も楽しめそうだっ……!」