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【アイナナ/R18】Melody.【九条天】

第16章 15 Melody.





(失望させないで……か……)



まだ言いたい事があったように見えたけど、リハがTRIGGERさんの番になってしまったから……天は今ステージの上。


彼らの完璧なパフォーマンスを見ながら、私はさっき言われた事を思い返す。



(……痛い)



彼が言っていたことは正しい。
確かにリハの時、私は気を緩めていたから。


それは自分でも認めて、だから頭を下げて……本番ではしっかりしなきゃって前向きに考えたのに……


天が言った言葉の数々が……胸に刺さったまま抜けない。



「流石TRIGGERですね……おれまで魅入ってしまう」

「そう……ですね……」

「ん?どうしたんですか?さん」

「あ……いえ、なんでもないです」



棘なんて、そんな小さなものじゃない。
まるで鋭い刃物で何回も刺されたかような痛みが、身体の中心部から感じる。


プロとしての意見を受け止める力がない、まだまだ青い新人なんだって……改めて思い知らされる痛みだ。



(何やってるんだろう……)



ファンのみんなを楽しませる事が私達の役目。それはわかってる。
折角この暑い中来てくれるんだから、最高のひと時をプレゼントしたい。


だから私はファンの為に全力を尽くす。


どう考えても、今の自分に出来る事はそれしかない。


今一度考え直させてくれた天と、期待してくれてるファンに……精一杯の感謝をこめてやり切ろう。



(失望なんかさせない。あなたにも最高の時間をプレゼントしてあげる。だから……みてて、天)



◆15 Melody.END◆
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