第2章 1 Melody.
(ああ……っ)
そいつが立ち去った後、私は汚れた手を見て震えていた。
しつこく纏わり付いているソレが気持ち悪い。
手首から切り落としたい。
そう思いながら。
(天っ……陸っ……)
そんな時に浮かぶ大好きな2人の顔。
「」「姉!」って、笑顔で呼びかけてくる。
しかし私は穢されてしまった。
醜い。汚い。
こんな自分でどうやって彼らと会えるだろう。
(帰ろうっ……行けないもん……っ)
だから私は背を向けた。
手を拭き、少し乱れた服を直して来た道をヨロヨロと引き返す。
どうして私なの。
どうしてこんな目にあわなきゃいけないの。
何も抵抗出来なかった事を悔しく思いながら、キツく唇を噛んだのを覚えている。
「姉ー!!」
「あっ……」
(陸っ……?)
「待って陸、ダメだよ出歩いちゃ……!」
「離してよ天にぃ……!コホッ、ゴホゴホ……っ」
「はボクが探す。だから陸は……」
「っ……嫌だ……」
「陸!ボクの言う事聞い、」
「嫌だ!!」
そこへ聞こえてきた2人の声。
どんな会話をしているのかわかるから、近くにいるのだろう。
ーー焦る私。
慌てて隠れられそうな所を探し、そして身を潜ませた。
見つかりませんように……。
と、強く手を握りしめながら。
(お願いっ……早く遠くへ行って……っ)