• テキストサイズ

【アイナナ/R18】Melody.【九条天】

第2章 1 Melody.




(ああ……っ)



そいつが立ち去った後、私は汚れた手を見て震えていた。


しつこく纏わり付いているソレが気持ち悪い。
手首から切り落としたい。


そう思いながら。



(天っ……陸っ……)



そんな時に浮かぶ大好きな2人の顔。
「」「姉!」って、笑顔で呼びかけてくる。


しかし私は穢されてしまった。

醜い。汚い。

こんな自分でどうやって彼らと会えるだろう。



(帰ろうっ……行けないもん……っ)



だから私は背を向けた。
手を拭き、少し乱れた服を直して来た道をヨロヨロと引き返す。


どうして私なの。
どうしてこんな目にあわなきゃいけないの。


何も抵抗出来なかった事を悔しく思いながら、キツく唇を噛んだのを覚えている。



「姉ー!!」

「あっ……」
(陸っ……?)

「待って陸、ダメだよ出歩いちゃ……!」

「離してよ天にぃ……!コホッ、ゴホゴホ……っ」

「はボクが探す。だから陸は……」

「っ……嫌だ……」

「陸!ボクの言う事聞い、」

「嫌だ!!」



そこへ聞こえてきた2人の声。
どんな会話をしているのかわかるから、近くにいるのだろう。


ーー焦る私。

慌てて隠れられそうな所を探し、そして身を潜ませた。


見つかりませんように……。


と、強く手を握りしめながら。



(お願いっ……早く遠くへ行って……っ)


/ 395ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp