第2章 1 Melody.
「その後っ……私、は……っ」
「ヤられたのか?」
「ちょっ……!環くん!そんな言い方はないだろう?!」
「じゃあ、そーちゃんならなんて言うんだ?」
「えっ……そ、それは……」
気持ち悪さと怖さで動けなかった私に、あいつは顔を寄せて肌に舌を這わせた。
「興奮するよ……」って言いながらしつこく何回も。
最後まではされなかったけど……自分にとってあれは初めてを奪われたも同然だった。
「……されたのか?」
「っ……首、舐められてっ……手に出されてっ……そこまでだったっ、んですけどっ……」
「そうか……怖かったろ」
「っ……はいっ……」
「ったく……そんな奴がいるから、男はダメだって言われんだよなー」
ここまで黙って話を聞いてくれた大和さんが困ったように頭を掻いている。
何気ない行動に見えるが、表情からはかなりの怒りが感じられた。
今日知り合ったばかりなのにそんな顔をしてくれるんだ……と、私の心はちょっとだけ温かくなる。
「か弱いレディにそのような真似……ワタシ、許しません」
「ほんと、流石のお兄さんもキレるわ」
けど話にはまだ続きがある。
涙のせいで声が震えるけど言わなくてはならない。
しかし肝心の陸が言葉を失っている。
予想通りもっと辛そうな顔をしながら。
ちゃんと聞いてくれるかわからないけど……ここで止まってしまっては、きっと泣くばかりで話せなくなる。
(言わなきゃっ……あの後どうしたのか全部……っ)