第14章 13 Melody.
と、涙と笑顔で締めくくった日から数日。
今度は悲鳴に似た声をあげる事になってしまった。
「えぇぇぇっ?!マ、マネージャー……今なんて言いました?!」
「ですから、来月行われるサマフェスへの出演が決まったと」
「えぇぇぇっ?!」
何度でも聞き直したいくらい信じられない。
あれからは地味に営業をしていただけなのに……どうしてそんな大イベントに呼ばれたのか全く信じられない。
「あなたを気に入った主催者が声をかけてくれたんです」ってマネージャーが説明してくれたけど……それでもイマイチ現実味が湧かなかった。
「ま、まさかドッキリですか?!もう私にドッキリ仕掛けるんですか?!カメラはどこに……!」
「そんなものありません。あなたの実力を買ってくれたんですよ、素直に喜んでください」
「でも!!」
「でもじゃない!さあ!笑って喜んで!」
「えぇっ?!なんですかその無理矢理感!!」
「いいから喜んで!スマイルですよ!!」
スマイル……。
凄いネーミングだなと思ったけど、実はこれ……ファンがつけてくれたもの。
私が笑うと可愛いからって、誰かが言い出したみたい。
でも名前をそのまま使うってどうなんだろう。
「今はファンの前じゃないんでしません!!」
「……どうしても笑わないと?」
(目が怖い……!)
「っ……その話本当なんですね?」
「だからそう言ってるでしょう」
「本当の本当に本当なんですね?!」
「本当です!!耳にタコが出来るまで言いましょうか?!本当です本当です本当です本当です本当です本当です!!!!」
「ははっ……!わかりましたよマネージャー……!」
「全く……最初から素直に受け取ってくださいよ。おれの声が潰れたらどうしてくれるんですか」
「あっ、なら今度は私がマネージャーにのど飴あげますね!」
「そうならないように!!おれの話はちゃんと信じるんですよ!!わかりましたか!!」
(ひぃっ……!)
「はっ、はいー!!」