第13章 12 Melody.〜天side〜
「……」
(やっぱり言ってきた)
収録を見ていた時、楽と龍があーだこーだ言ってた事は気づいてた。
本当は隠し通すつもりでいたけど、あの時は流石に感情を押し殺せていなかったから……バレても仕方ないなと思う。
でもやはり素直には認めたくない。
……照れくさいから。
「だろ?」
「なんでそうなるの。彼女とはただの幼馴染だよ」
「じゃあ俺が貰ってもいいのか?」
「……は?」
「ただの幼馴染としか見てねぇなら、俺があいつを狙っても問題ないだろ?」
この挑発……楽らしいといえば楽らしい。
しかしここで相手のペースにのったら、それこそ彼の思うツボになってしまう。
「好きにしなよ」って、口が勝手に開きかける。
「……」
(……そんな事言えるわけないでしょう)
好きにしなよなんて嘘でも言いたくない。
だからボクは無言になる。
しかし楽には睨んでるように見えたらしく「なんだよ。言いたい事あんなら言え」と言ってきた。
ボクの口から「の事が好きだ」って……ハッキリ聞かないと気が済まないみたいだ。
「……わかってるくせに」
「なにがだよ」
(トボけるの?これだから大人は嫌い)
「お前がに惚れてる事か?」
「……他に何があるの」
「ねぇな」
「……」
(……ムカつく)
「天……!俺は安心したよ……っ」
「……は?」
(……泣いてる)
「天も普通の男の子なんだよなっ……よかった……っ」
(……普通のって何)