第13章 12 Melody.〜天side〜
そして番組放送日。
仕事が早く終わったからと、ボク達TRIGGERは開始15分前からテレビの前にスタンバイ。
……って、仲良く隣同士で座ってるわけじゃない。
みんなそれぞれ適当な位置から画面を見つめている。
「ド、ドキドキしてきたな……」
「なんでお前がドキドキしてんだよ」
「龍はさんのファンだから」
「えっ?!」
「ほらね」
「そういや収録ん時ずっと興奮してたな」
「は、ははは……してたかな、俺……」
してたでしょう。思いっきりしてたでしょう。
なんて心でツッコミつつ3人で開始を待った。
……収録後の出来事は今は置いておく。
純粋にプロとしての姿を見たい。
あの時は……情けない事に私情ばかり織り交ぜていたから。
「おっ、始まったな」
「も、百さん……俺達の時もこんなに張り切ってたっけ……?」
「張り切ってない」
「張り切ってねぇよ」
「だ、だよね……」
開始には間に合わなかったから序盤は知らない。
でも特に気になるところはなかった。
収録は昼間だったけど、放送は夜だからってちゃんと「こんばんは」って言ってるし
アイドルらしく笑顔で堂々と登場している。
事務所がどういう方針で彼女を売り出そうとしたのかはわからないけど……ありのままのがそこに居て安心した。