第11章 10 Melody.〜天side〜
「ほら、行けよ」
「……いい。だから押さないで」
「そう言わずに……!折角来たんだから……!」
「いいって言ってるでしょう」
カットー!お疲れ様でしたー!という声が響いて直ぐの事。
楽と龍が「のとこに行け」って、いきなりボクの背中を押してきた。
……そうしたいけどそうもいかないから困る。
「お前ら幼馴染だろ」
「関係ないでしょう」
「行きなよ天。ちゃんもきっと会いたがってるよ」
「……」
(今行っても逃げられるだけだ)
いくらテレビ出演を果たしたからといって彼女はまだまだひよっこ。
それは本人だってわかってるはずだ。
会えないって……また言われるに決まってる。
「ほら、お前が渋ってる間に行っちまっただろうが」
「じゃあボク達も行こう。仕事が残ってる」
「いや、行くのは控え室だ!」
「……は?勝手に決め、」
「いいから!楽!」
「ああ。後ろは任せろ」
龍は一体なんなの。
痛いからそんな張り切ってボクの腕を引っ張らないでほしい。
それに楽も楽だ。何ボクの背中を押してるの。
控え室なんて行きたくない。
もう「会えない」なんて聞きたくない。
けどボクの足は確実に近づいている。
の元へ。