第11章 10 Melody.〜天side〜
「……こいつ今って言ったか?」
「言ったけど……幼馴染なんだし、名前で呼んでもおかしくないよ」
2人の会話はもうボクには届かない。
今は目も耳も……全てが彼女の虜だ。
楽しそうにトークする姿。
楽しそうに笑う姿。
それから驚いた顔や困った顔。
の全てを焼き付けたくて……ボクは彼女を見つめ続ける。
「ただの幼馴染にしては反応がおかしいだろ。まるでに惚れてるみたいじゃねぇか」
「ま、まさか……天はファン第一じゃないか」
「そうだけど見てみろよ」
「え……?」
「俺はこんな天初めて見た。普段と大して変わらない顔してっけど雰囲気が違う」
「本当だ……俺も初めて見たよ……」
「だろ?惚れてなきゃこうはなんねぇよ」
「そうか天が……」
……本当に楽と龍の会話が耳に入らないから無視するけど、さっきからスタッフが別のセットを用意している。
そこではデビュー曲を披露するんだろう。
ピンクを基調とした背景や飾り。
それに加えピンクと白の衣装を着ている。
これはもう可愛い系の曲に違いない。
「ねぇねぇ!セッティング出来たって!」
「じゃあちゃん、よろしく」
「はい……!」