第2章 1 Melody.
「……わかった。話すよ、陸」
「えっ……?」
「言うって言ってるの。でも……よくない話だよ」
辛そうに顔を顰める陸の姿は見たくない。
でも話したくない。
そう自分の中で言い争った。
出来れば1人で乗り越えたかったけど……「どんな事でもオレは知りたい……!」「姉の力になりたい」って言う陸に心を動かされた私は打ち明ける事を決意。
それにどうせ話すならみんなにも聞いてほしい。
だから私は今この場で過去の記憶の扉をあけようと、分厚いドアの取っ手に手を伸ばした。
「七瀬さん、一体なんなんですか?」
「……姉は昔、オレ達の前から突然姿を消したんだ。その理由を知りたくて……」
「姿を消した……ですか?」
「……はい。私はここ6年間、陸には全く会ってませんでした。……あんな事があったせいで」
「その〝あんな事〟ってやつを、お前さんは話そうとしてんだろ?」
「は、はい……。あの……皆さんにも聞いていただきたいんですが……」
「うん、勿論だよ」
「ありがとうございます壮五さん……」
さて……どこから話そうか。
みんなして私を見つめてるから、変に緊張して頭が真っ白になりかける。
まあ簡単に言う事も出来るけど……ここはしっかりと順を追って説明しよう。
「えっと……ちょっと長くなるかもしれませんが……」
「構いません。ワタシ達、最後までちゃんと聞きます」
(うっ……ナ、ナギさん苦手……)
「あ、ありがとうございます……じゃあ話しますね……」