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【アイナナ/R18】Melody.【九条天】

第2章 1 Melody.




やはり隠しておく事は無理そうだ。

けど説明するには過去の記憶をまた掘りかえさなきゃならない。


泣きながら社長さんに話した事を思い返すと……いくら陸相手でも、もう記憶の蓋は開けたくないって思う。



「……無理」

「ど、どうして……?」

「無理なの……っ」

「天にぃも心配してたんだよ……?!勿論オレだって……!」

「やめてっ……」

「姉……!!」

「もうやめてよ!!私がどれだけ辛い思いをしたか何も知らないくせに!!……あっ……」

「っ……」



ハッとした。
陸がとても悲しそうな顔をしている。


……いや、悔しいのかもしれない。
目を伏せて、キツく唇を噛んでいる。

怒鳴り散らしたって仕方ないのに……陸は何も悪くないのに……私はなんて酷い事を言ってしまったんだろう。



「あ……ご、ごめんね……」

「……いいんだ。確かに何も知らないから……」

「陸……」

「でもオレって……姉にとったらまだまだ頼りないんだね……」

「……あ」



幼かった頃は私と天でよく彼の面倒をみていた。
その時、陸にこう言われた事がある。


〝オレがもっと大きくなって強くなったら……今度は姉がオレを頼ってね〟


「いつも面倒をみてくれているから、いつか恩返ししたいんだ」とも言っていた。

忘れていたわけじゃないけど……今の陸を見ていると、なんだか無性に心が痛む。



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