第11章 10 Melody.〜天side〜
乗せられたのは龍の車。
隣には楽がいて、しっかりとボクを見張っている。
ここまでされたらもう逃げようなんて思わないのに……用心深い人達だ。
「……しつこい」
「あ?何がだよ」
「これ、いつまで縛っておくつもり?」
「着くまでだ。逃げるかもしんねぇからな」
「……逃げないよ。もういい」
「本当か天!うわっ!!」
「バッ……!ちゃんと前見て運転しろ!!」
「ごっ、ごめん……」
もしこの人達がボクの気持ちを知っていたら一体どうしていただろう。
やっぱり拉致する?
それともしない?
って考えても、目的地に向かっているこの現実は変えられない。
このまま会いに行って、またもやに拒絶されたらと思うと……心がズキッと痛む。
「着いたよ!楽、天を解放してあげよう」
「いや、さっきみたいに運んでスタジオまで行こうぜ」
「……は?」
(ボクで遊ぶつもり?)
「やっ、やめとけって……天が凄い睨んでる……」
「っ……わかった解いてやるよ」
本当は怖い。
会いたくなかったって……泣きそうな顔をしながら言うの姿が目に浮かんでくるから。
ボクが見たいのはそんなのじゃないのに……どうして涙ばかり浮かんで、彼女の笑顔は出てこないんだろう。
(って……この前会いに行ったくせに何考えてるの)
「解いたぞ。これでいいだろ?」
「……帰りは楽の番」
「なんでそうなんだよ!」