第10章 9 Melody.
「さんは自由にコメントしてください。ただし、常識の範囲内で」
「はいっ……!」
「そう力まないで。カメラに映らない所で見守っていますから」
「はいっ……」
「あなたなら大丈夫。頑張って」
そしてメイクが終わりいよいよ本番前。
可愛いデビュー曲に合わせてピンクのシャドウを使ってくれたんだけど……普段メイクをしても薄めだから、濃いメイクはやはり慣れない。
まあプロがやってくれたんだからおかしくはないんだろうけど。
(うぅっ……ここに来て緊張がヤバい……手に人を書こう……)
「ちゃん!!」
「きゃっ!!」
(百さん?!)
「何やってるの?あっ!もしかして手のひらに人って文字書いてた?!」
(バレた恥ずかしい……っ)
「は、はいっ……」
「っ……!それでっ……効果はあったっ……?」
「な、ないです……」
(千さんまた笑い堪えてる……)
意味はないってわかっててもついやってしまうもの。
だって何かしてないと意識飛びそうなくらいドキドキしてる。
スタンバイ場所までスタッフに案内されている時も、本番10秒前!ってスタッフの声を聞いた時も……私の足は情けなく震えていた。
(うわぁっ……始まった……っ)
「じゃあ本日のゲストに出てきてもらおう!!」
「アイドル界期待の星、さんです」
「さん、胸張って」
(マネージャー……)
「いってらっしゃい」