第10章 9 Melody.
TRIGGERに負けないくらいのフォローとは一体どんなフォローだろうか。
私はもう大丈夫だと伝えたのに、百さんも千さんも聞かなかったから逆に困ってしまう。
(ありがたいけどまた批判買いそうな……)
「さん、顔を下げないでください」
「あっ……すみません……」
今私は自分の控え室でメイクさんに顔をいじってもらってる。
一応自前で化粧はしてきたけど「それだとテレビじゃ綺麗に映らない」って言われてしまった。
あまりシャドウとか濃く入れたくないのに、このメイクさんはホイホイ色を乗せてくる。
「さんは肌綺麗だし元がいいから、化粧品のCMとか良さそうね」
「わ、私がですか……?」
(ありえない……)
「ええ。私はいつも淡々と仕事をこなしてるんだけど、こうしてあなたの顔を綺麗にしていると……ふふっ、なんだかテンション上がっちゃうわ。でもクマはダメよ?可愛い顔が台無し」
よろしく。
そこに座って。
目を閉じて。
動かないで。
と、控え室に来るなりメイクさんはこう言った。
無表情だったし……なんだか怖い人だなと思ったのが第一印象。
けど笑うととても綺麗。
鏡越しだけどつい見惚れてしまう。
相手は同性なのに。
(綺麗なのはそっちだよ……)