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【アイナナ/R18】Melody.【九条天】

第9章 8 Melody.〜天side〜




行かないでーー。


そう伝えた後、ボクはの手を強く引いた。
もう何処にも行かないようにと……腕を広げて抱きしめようとする。

けど彼女の背中に腕を回した瞬間、の姿は光とともに消えてしまった。


残っているのは引き寄せた時の感触だけ。



「……?陸……?」



辺りを見回すと陸の姿もない。
それどころか部屋ごと消え失せていて……世界は真っ白だ。


右を見ても左を見ても……前を向いても後ろを向いても……ここにはもうボク以外何もない。



(……夢でもこうなるの)



一体どこまでボクを苦しめれば気が済むのか。

夢くらいと……陸と一緒にいたってバチは当たらないのに。



(……起きて、ボク)



こんな所で1人にされるなら早く目を覚ましたい。
360度白い景色しかないのは狂いそうになる。


多分本体は明日の準備をしないまま、机かなにかに伏せて寝ているはずだ。

ここから呼びかけたって意味はないだろうけど……他に方法が思いつかない。



(起きなよ。キミだってこんな夢見たくないでしょう)



けどなかなか状況が変わらない。現実のボクは熟睡してしまっているのだろうか。


……だとしたらお手上げ。
こっちからは何をしても無駄だ。


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