第5章 雨催い
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「まずは飯だ」
翌日、まだ部屋を出ることのできない前田の部屋へ食事を持って訪れた。隣には鶴丸がぶすくれた表情でいる。
「…審神者と二人では、不安だろう」
前田が鶴丸を見つめるので、鶴丸はなぜ自分がここにいるのかを前田へ説明した。その答えに前田は頷くことも否定することもなく、気まずそうに視線を逸らした。その反応が答えだろう。
鶴丸は一期や骨喰が守った前田を、大切に思っているらしい。そんなものは鶴丸の様子を見ていれば流石に分かる。
ほかの刀剣男士のことも仲間として認識しているが、こと前田に関しては別のようだ。俺が言葉を発しようとするたび、鶴丸が視線で刺してくるものだから、しゃべりづらいのなんの。
昨日、あれから広間へ戻ると、鶯丸が色々と教えてくれた。鶴丸は一期と特別仲が良かったようだ。なんでも、一緒にいる期間が長いという。顕現したあとも相性がよかったらしく、喧嘩も多かったがお互いに気を許しあう仲だったのだと言っていた。
そんな一期が、最後まで守った前田のことを、鶴丸はずっと気にかけていた。