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夜明け

第5章 雨催い



 前田は大きな涙の粒をこぼしながら、吐く息の合間に言葉を紡ぐ。

「僕のせいです」

 自分を責める言葉は、聞いているこちらが痛くなるようだった。

「知っていたんです。分かっていた。きっと、二人は僕を見捨てはしてくれないこと」

 横に座る鶴丸の横顔を盗み見れば、どうやら事情を知っているらしく痛ましげな表情をしていた。

「分かっていて、止められなかった」

 前田は、吐く。

「折れることが怖かった」

 だから。

「二人に選ばさせたのは、僕だ」

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