第4章 玉蜻
数日おいて、重傷最後の一振りである加州清光の手入れを行うこととなった。歌仙と、この日は大和守も手入れの様子を見守っていた。
案内された部屋。そこで眠りにつく加州清光も、例にもれず傷だけだった。
「コイツは、馬鹿なんだ」
まだ傷だらけの加州を見て、大和守がつぶやいた。
「本当は、主に愛されたくてしょうがなかったくせに、つよがったりしてさぁ」
大和守はそっと加州清光本体に触れる。その手つきの優しさから、大和守が加州をどう思っているかが分かる。
「……本当、何で僕を頼ってくれなかったんだろ」
どこまでも穏やかな声で、穏やかな表情で言った。その瞳の奥にだけ見え隠れする後悔ややるせなさが、切なかった。
「審神者さん、清光をお願いね」
大和守は優しく笑って、今にも折れてしまいそうな加州をそっと持ち上げて俺に手渡した。
ずん、と重さを感じる。これは、大和守の想いの重さだ。
俺は強く頷いてから、そっと刀に手を翳し霊力を流し込んでいく。ここからは、ただひたすらに集中しなければならない。