第4章 玉蜻
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御手杵が終わると、日をおいて骨喰藤四郎と、それから加州清光の手入れも行った。
骨喰藤四郎も刀を動かすのも躊躇われるほど傷だらけで、手入れには三日月が立ち会った。
「この傷は戦場でか?」
疑問に思い尋ねれば、三日月は冷たい瞳をこちらに向けた。
「なぜ聞くのだ」
「なぜって…、知っておいた方がいいだろう、こういうのは。原因を知らなきゃ、次に繋げられない」
手入れしました。ハイ終わり。では、立て直したとはいえないだろう。
三日月はこちらを探るように見つめた後、ゆっくりと静かな声で言葉を紡いだ。
「仲間内で傷つけあった結果だ」
「仲間内で…?」
「詳しくは俺の口からは言えん。ただ、双方望んだわけでも、納得したわけでもなかった」
声がしんしんと部屋に積もる。平坦で感情の見えない声だった。
「人の子は、なぜああも傲慢にふるまえる?」
そこにはただ、疑問が残されていた。
「俺らとて、初めからこうだったわけではない」
三日月のもっともな言葉に、何も言えなくなる。
「こうしたのは、お前たち人間よ」