第4章 玉蜻
「そうだと嬉しいんだが……。お前さんは優しいお人だなぁ」
しみじみと言われて、切なくなる。豪快で、男らしくて、けれど、どこか自己評価が低い。ここにいる刀剣男士は、様々な傷を抱えている。本当に、多種多様な傷を抱えたまま生きている。
その現実を目の当たりにして、なにも言えなくなる。
依頼を受けたとき、難しいとは思っていたが、同時に立て直す自信もあった。それだけの実力があると自負しているし、努力をしていた。知識もそれなりにあり、天才と持て囃された通りの才能があった。
けれど、そんな問題ではないのだと、ここにきて毎日のように実感する。
神との対話は今までいくつもこなしてきた。けれど、ここまで人間らしい神様に会ったことはなかった。
だから、分からなくなる。俺よりよっぽど人間らしい彼らの心を癒し、憂いを取り除いてあげられるのだろうかと。
沈みかけた思考を頭を振り追い出す。
意識して明るい声で、手を差し伸べ言った。
「思ったことを言っただけだよ。……よろしくたのむ、薬研藤四郎」
「ありがとう。こちらこそ、よろしく頼む」