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夜明け

第4章 玉蜻



 広間を出ると、その足で刀剣男士の自室へと向かった。大和守と同田貫に三日月や歌仙との話を伝えると、何となく予想はしていたのか「分かった」とだけ返事をされた。

 まずは薬研藤四郎のもとへ。彼とはきちんと会話を交わしたことはないが、初日から気配は感じていた。探ってみるに、そんなに悪いこともなさそうである。

「すまん。今いいか?」

 襖ごしに声をかければ、どたどたと足音がいくつも聞こえたのち、襖があいた。

「よお、そろそろかと思ったぜ」

 白衣を身に纏い、ずれた眼鏡を押し上げながら薬研は俺を部屋に招き入れた。

「ちゃんと話すのはハジメマシテだな。俺っち、薬研藤四郎だ。兄弟ともども、よろしく頼むぜ」

 薬研は落ち着いた雰囲気を纏っていた。想像していたよりも、随分と友好的だ。

「ああ、よろしく。ろくに挨拶もできなくて、悪かった」
「気にせんでくれ。どうせ旦那たちだろ。悪いお人じゃねぇんだが、俺っちからすればどうも神経質になりすぎてんだ。……おっと、これ言わんでくれよ?」
「お、おぉ…」

 俺の前にどかりと腰を下ろした薬研は、見た目にそぐわず男らしい。見た目とのギャップがすごいが、これならば話をつけるのは簡単そうだ。

 
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