第4章 玉蜻
「不満はない。けど…果たして引き受けてくれるのか?」
「それは、お主の腕の見せ所だろう」
三日月は口元を裾で隠し、うっそりと笑んで見せた。瞳に浮かぶ打ちのけの三日月が、妖しく光る。
「……わかった、頼んでみる。ちなみに、説得できなければ?」
「できぬのか?」
こいつ…。思わず舌打ちしそうになるのをぐっと堪える。何も、鶴丸でなければならない理由はないはずだ。刀種の問題ならば鶯丸がいる。練度も彼の方が上だ。
だから、これは試されている。あるいは、嫌がらせだ。
ムカつくが、つけ入る隙はある。何より、他の面々については比較的頼みやすい。
努めて顔に出ないよう振舞いながら、なんて事のないように言って見せた。
「まさか。聞いてみただけだ」
隣で歌仙がため息を吐いたが、すまん。今は気を使ってやれそうにない。