第4章 玉蜻
「ほかの刀剣男士も入るかな?」
何となく、あの敵意むき出しの鶴丸や燭台切を思い浮かべながら呟けば、青江が「どうだろうねぇ」と呟く。
「歌仙や薬研、乱とかは喜んで入りそうだけどね」
「確かに。他はあんま想像できないな~」
「傷がなおりゃ、御手杵とかも入んだろ」
「彼は喜びそうだね」
まだ会ったことのない刀剣男士の名前が出てくる。聞いている限り、刀剣男士同士の繋がりは薄くないようで安心した。
「逆に鶴丸とかは、頑なに入らないだろうね」
石切丸が苦笑い交じりに言うと、鶯丸が笑った。
「はは、あいつもまだまだだな」
「鶴丸さんは気にしすぎなんだよ」
「しょうがないさ。あいつはあいつで、思うことがあるんだろう」
「まぁね、僕も二代目にはムカつくところがあったから分からないこともないけどさぁ」
お風呂に浸かりリラックスしていることもあってか、彼らの口はいつもよりも軽い。
「前田にしたことも、乱にしたことも許せないのは確かだよ。だけど今の審神者さんとは別じゃん?」
「そうはいかないのが、心なんだろうね。大和守は、加州くんはいいのかい?」
「あいつは別。頼ればいいのに、頼らなかったんだから」
「誰に頼ればいいか、分からなかったんじゃねぇの?」
「……それがムカつくんだって」
流れるような会話の中、知らないことがぽんぽんと飛び出てくる。一つ一つに反応することもできず、俺はただ手を動かしながら耳を傾ける。