第4章 玉蜻
ちゃぽん、と湯が跳ねる音がする。
「あ~~~~、生き返るぅ」
「これは…、なかなかにいいものだね」
「悪くねぇな」
脱衣所で服を脱ぎ、裸で走り回ろうとした大和守を止め、五人は一番大きな湯舟に浸かった。
ほう、とうっとりとしたため息を聞きながら、俺はうれしくなる。
「やっぱ風呂はいいよなぁ。命の洗濯だからな」
くるくると容器の蓋をあけながらしみじみと言えば、同田貫が笑った。
「あんた、それ、さっきも言ってたな」
「でも、入ると言ってることが分かるだろ?久しぶりだったら、猶更」
「あぁ、確かに。いいものだな」
鶯丸がゆったりとした声で答える。俺にも経験があるから分かる。体の汚れは勿論だけど、なんというか魂が洗われる感じがするのだ。疲れや悪い思考を飛ばすには、質のいい睡眠に、美味しい食事、そして温かい風呂と決まっている。
「ところで、審神者さんはさっきから何してるの?」
大和守が淵に持たれながら尋ねた。
「これか?シャンプーやらリンスやらを入れ替えてるんだ。全部だめになってたからな。やるなら今のうちかなって」
「ふーん。審神者さんも入ればいいのに」
「気持ちだけ受け取っておくよ」
非常にありがたい申し出だが、さすがにそこまで無防備にはなれない。俺は離れの自室でこの後ゆっくり湯舟につかるつもりだ。