第4章 玉蜻
「終わったーーーーっ」
掃除を初めて数時間、ようやく浄化作業まで終わることができた。
「お疲れ様。本当にありがとう。助かったよ」
「これは、お礼が欲しいな」
「俺にできることならな。考えといてくれ」
全員がへろへろになりながら、掃除用具を片つけていく。数時間前とはくらべものにならない程綺麗になったそこは、高級旅館の大浴場さながらだ。
「せっかくだし、湯を張ろうか」
「さんせー!!」
疲れた様子の彼らに提案すれば、大和守が喜々として脱衣所へ向かった。
「僕たちも入ろうかな」
「おー、せっかくだしな。式神に頼むから、湯は5分もすれば張れるぞ」
懐から人型の紙を取り出す。印を結び息を吹き込めば、それはたちまち質量を得た。
「へぇ、興味深いね。君は式神が使えるのかい?」
石切丸が尋ねる。
「家柄な。そんな複雑な命令はできねーけど」
式神は、こちらの意図を組み湯を張り始める。どういう原理かは知らないが、あっという間に溜まる湯に、鶯丸や同田貫は部屋へ着替えを取りに戻った。
「その中にいるお方も、家柄とやらが関係しているのかい?」
おそらく、ずっと気になっていたことなのだろう。俺はうーーん、と考える素振りをしてから、ごまかした。
「まぁ、そんなとこ」
「そう。……さて、私も着替えをとってくるとするかな」
「おう、いってらっしゃい」