第1章 暁闇
「政府のものから、こんのすけが詳しいことを知ってると聞いたんだけど、どこまで把握してる?」
「えぇ、そうですね。確かに今政府にいる者の中では、一番内情を知っていると思います。けれど、それはあくまで政府の物と比べれば、の話です」
「……つまり?」
「私目も、全てを把握はしておりません。詳しくわかるのは、精々二代目の最後と三代目が審神者としてついた頃のことしか…。お力になれず、ごめんなさい」
こんのすけは項垂れ、耳をぺたんと下げた。先程までふさふさと動いていた尻尾も、今は床についたままだ。
正直に言うとあまりにわからないことが多すぎて困ってはいるが、まぁ、仕方がない。知らないならば、これから知っていければいいか。
「いや、構わない。また知っていることは詳しく教えてくれ」
それよりも、現状をどうするかだ。
「思ったよりもまずい。刀剣男士の殺気が、膨らんでる」
「彼らは人の気配に敏感です。いえ、敏感にならざる得ない状況があったのだとは思うのですが。どうなさいますか?」
「とりあえず、挨拶へ行こう」
「挨拶、ですか…」
「あぁ、」
立ち上がり、埃を祓う。皺がついていないことを確認して、念のために身の回りに結界を張っておく。
「神様は、存外、礼儀を気にする生き物なんだ」