第4章 玉蜻
夜。結局、ご飯は別々で食べることとなった。刀剣男士も全員揃ってというのは難しく、食べたいものは広間で食事をとるという形をとったそうだ。まだ手入れをしていないものもいるので、当然といえば当然だろう。
「ちょっと羨ましいな…」
「そうですか?」
歌仙が作るおかずを創造して独り言をこぼせば、こんのすけは油揚げを口に咥えたまま首を傾げた。
「手料理なんて、こっちきてからそれらしい物食べてないしな」
「たしかに、審神者様は料理されませんね」
「…恥ずかしい話、料理したことがないというか……」
「ははぁ、なるほど。ご両親に作ってもらっていたのですか?」
「いや、使用人がいて…」
「使用人」
分家といえど、それなりの家柄だったので、当主の息子であった俺や兄にはそれぞれ使用人がいた。ご飯はもっぱら、使用人が作ったものを口にする。
幼いころから基本的にはそうだったので、母の手料理というものは珍しかった。挙句、神との対話を行う身であるからと、質素なものが多かった。時代錯誤とは思うが、意外と侮れなかったりする。