第4章 玉蜻
原因は分かっている。俺がこの本丸へきてもう一か月以上が経っている。なのに、大して変わらない現状。厳密にいえば、本当に少しずつよくなっているとは…思う。んだけど。それは環境の話であって、刀剣男士の方は何とも言えなかった。
歌仙はそれに焦っているようだった。彼は初期刀だと言っていたから、それもあるんだろう。
「歌仙、畑仕事の手伝い、もう大丈夫だよ」
彼に今必要なのは、休息だ。俺が来てから、恐らく彼はほとんど休むということをしていない。だから、一旦畑仕事はお休み。歌仙に伝えると、彼は苦虫をつぶしたような顔をする。
「……すまない、中途半端にして」
「歌仙が謝ることじゃねぇだろ」
「あぁ、まあそうなんだろう。でも、駄目なんだ」
こりゃあ駄目だな。本格的に参ってる。傷がどうこう、手入れがどうこうの話じゃない。
「ほら、歌仙が声かけてくれたおかげで、青江や大和守も手伝ってくれるし」
そう。今や俺一人ではない。最近では青江や大和守、それから同田貫、石切丸が手伝ってくれているのだ。おかげで畑仕事にも終わりが見えてきたところである。
歌仙は俺の言葉に考えたあと、ゆっくりと頷いた。