第3章 八雲
「こんのすけ、起きて」
声をかければ、こんのすけはゆっくりと眠りから覚醒した。
「んん~~~~、おはようございます、審神者様」
「おはよう。今の本丸の状況を教えてくれるか?」
「それは勿論…」
こんのすけは体を伸ばしたあと、大きなあくびを一つこぼしてぷるぷると体を震わせた。
「あっ!けがの具合はいかがです?」
「平気だ。しばらく不便だけどな」
刺されたのが肩ということ。それから俺自身の体の体質のこともあり、動かせば痛むという程度に収まっている。傷口も一週間もすれば痕は残るが塞がるだろう。
「それで、本丸の状況ですね。昨夜は本当、寿命が縮む思いでした…」
「それはすまん」
「いいんですよ、いいんですけどね」
こんのすけはぷりぷりと尻尾を動かしながら、拗ねたように言った。
「こほん。詳しいことは、部屋の外にいる鶯丸様に聞くのがいいかと」
「えっ、いんの?」
こんのすけの言葉に驚き、気配を探る。たしかに、部屋ーーー結界の外に気配がふたつ。
「もう一人は?」
「歌仙様です。青い顔をなさっていました」
「うーん…、責任感じてるんだろうなぁ…」
はっきりいって、今回の怪我は避けようと思えば避けれた怪我。わざと結界を張らなかった俺にも落ち度はあるわけで、刀剣男士ばかりが悪いわけではない。
そんなことを言っても、歌仙は気にしそうであるが。