第2章 幽冥
俺は持っていた掃除道具から叩きを取り出して、まずは埃から落としていく。埃は上から下に。近くにあった台の上に乗り換気扇から。黙々と埃を落とせば、それは箒で一箇所に集め持ってきたゴミ袋へ。
それが終われば、次は水拭き。これまた持ってきた雑巾をしぼり、何回かに分けて拭いていく。火周りは多少油汚れが目立ったものの、なんてことはない。水で拭いた後には、重曹を水に溶かし吹きかける。水拭きではどうにもならない汚れが、次々と落ちていく。これ、結構気持ちが良くて俺は好きなんだよな。
ついでに電子レンジもしておくか。
食器棚に置いてあった器を一つ拝借し、その中に重曹を溶かした水を入れ数分温める。……と、誰か見に来てるな。
昨日感じた視線と同じ物だろう。悩んだ末、とりあえずは気付いてないふりをしておく。危害を加える、というよりは、気になっているという感じだ。