第2章 幽冥
「俺が案内しよう」
「ありがとう、助かる」
「何、ちょうど暇していたところだ」
着いてくるといい、と言って鶯丸は広間を通りさらに奥の部屋へと進む。
少しすると、台所に着いた。
一通り見渡して、状態を確認する。ここはまだましであった。誰かが使っていたのか、整理されている。使っていない、というよりは、きちんと片付けられているという印象だ。
「触ったらダメな物とかあるか?」
「さあ、どうだろうな。俺は台所を使ったことがないから何とも」
「それ、後で俺怒られない?」
「その時はその時さ。君ならうまくやれる」
「適当だなぁ…」
もう一度、今度は一つ一つを見ていく。状態は悪くない。ただ最近は触られていなかったようで、埃やら水回りのカビやらが気になるところ。
「よし、始めるか」
「そうだ。歌仙を呼んで来てやろう」
さぁ始めるぞと気合いを入れ、裾をまくる。襷掛けにしていれば、鶯丸が思いついたように言った。
「歌仙を?それはありがたいけど…」
「彼は料理がうまいからな。この台所もよく使っていた。彼に聞けば、大抵は分かるだろう」
「なるほど。それじゃあ頼んでいいか」
「あぁ。少し待っていてくれ」
そういうと、鶯丸はその場を離れた。