第7章 晨星落落
「君の言う通りだ。この鈴は、僕があの男へ贈ったものだーーー…
主にお使いを頼まれて、今剣と初めて万屋へ行った。何となく目に入った鈴は、僕の心を揺さぶった。自分の髪や瞳と似た色の糸と、好きな桜の色。気づけば手に取り、主にお土産として購入していた。
喜んでくれるだろう。そんな期待を込めて贈れば、案の定あの男は喜んでいた。しみじみと呟くように言われたお礼の言葉。贈った側の僕も、同じように嬉しくなったことを覚えている。
ーーーー君はもう、呪いの正体に気付いているね?」
歌仙はへたくそな笑みを浮かべて、俺に問いかけた。
「あぁ。あの呪いは、君の、ーーー君たちの、かつて主だった男だ」
誰かが息をのんだ。そこから動揺が広がる。だが、誰も言葉にはしなかった。ただ、歌仙の言葉を待っていた。
「正解。その通りだ。……全く、本当に困った男だよ。最期の最後まで迷惑ばかりかけて」
けれど、
歌仙は瞳を伏せて、呟く。
「けれど、憎み切れない僕も僕だ」