第7章 晨星落落
まるで水の中から引き上げられるような強さで、意識が戻ってきた。僅かな頭痛と、強烈な喉の渇きにせき込む。
「けほっ、」
ゆっくりと瞳を開けると、そこには心配そうな表情で俺を見つめる鶯丸がいた。体を支えてくれているのも、どうやら鶯丸のようだ。その距離の近さから香る優しい匂いで知る。
「うぐいす…まる」
「あぁ。よかった、意識が戻ったな」
ほっとする鶯丸の言葉に頷き。状況を把握するために視線を動かす。先ほどの熱さとはかけ離れ、ここには冷たい空気が流れていた。すぐ後ろには木が生い茂っている。
辺りは暗く、すでに陽が落ちていることを知った。その暗闇の中で爛々と燃え盛る本丸。きっともう、手遅れだ。
「みんなは、」
喉が渇いて、どうしてもうまく話せない。言葉を発するたびに焼けるような痛みが走る。恐らく、空気を吸い込んだ時に熱気でやられたのだろう。
「無事だ。全員揃っている」
鶯丸の言葉を聞いて、今度は俺が胸を撫で下ろす番だった。
リン。
と、存在を主張するかのように、胸元で美しい鈴の音が控えめに鳴った。